モンゴルへのロジスティクスルート

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中央アジア誌上講座
第二講座:モンゴルへのロジスティクスルート
講師:浅海茂(有限会社シー・エンタプライズ代表取締役)
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中央アジア地域最大のフレイトフォワーダー:グローバリンク社(本社カザフスタン)の日本コンサルタントなどを務められ、数少ない中央アジア物流スペシャリストの浅海社長のご協力により、中央アジア誌上講座を開講いたします。

1.モンゴルの概要
モンゴル国は中国の北方、ロシアの南方、そして中央アジア東部に位置する1,564,100km2(日本の約4倍)の国土をもつ内陸国です。しかし人口は248万人(東京都民の2割弱)と少ない上に、総人口の約35%が首都ウランバートルで暮らしています。そのため日本のように都市間で人やモノの大移動がないため交通インフラが発達せず、貨物は航空輸送か、限られた陸路(鉄道か道路)ルートでしか運ぶ事ができません。
そんな特徴をもつモンゴルへの物流について、航空輸送と陸路輸送に分けて見ていくことにしましょう。

2.モンゴル向け航空貨物便のアクセスについて
日本からモンゴルへの航空アクセスは直行便は少なく、多くはアジア、ヨーロッパ経由となります。

(1)直行便
・モンゴル航空 (成田~ウランバートル)週2便
・貨物の積替えがないので貨物事故が少なく輸入通関がスムース。
 現在新空港を建設中ですがいつ竣工するかは不明。
・貨物の数量によっては交渉次第で特別料金を取得することができる。
・Fuel Surcharge(燃料サーチャージ)は比較的安い。
(2)アジア経由
・大韓航空(成田~インチョン~ウランバートル)毎日運航
 航空運賃・燃料サーチャージは共に高い。
・中国国際貨運(成田~北京~ウランバートル)毎日運航
 援助物資が優先貨物、航空運賃・燃料サーチャージは共に高い。
(3)ヨーロッパ経由
・トルコ航空(成田~イスタンブール~ウランバートル) 日本からはDailyでトルコから週3便
・アエロフロート航空(成田~モスクワ~ウランバートル)日本からはDailyでロシアからは週3便
モンゴル_空路

3.モンゴル向け陸路のアクセスについて
モンゴルは内陸国で海の港がないため、モンゴルに陸路で貨物を運ぶ場合には隣接する国、つまり中国かロシア経由で輸送することになります。日本からの輸送ルートは主に二つのルートがあります。

(1)中国経由で鉄道かトラック輸送
ルート:天津新港→エレンホト(二連浩特)→ザミンウッド→ウランバートル
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(2)ロシア経由で鉄道輸送
ルート:ナホトカ港→シベリア鉄道→ウランバートル
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コンテナ貨物では80%以上が中国ルートで鉄道を利用しているようです。そのため以下では中国ルートを利用した場合の特徴をご紹介します。

(3)輸送可能な貨物
①海上コンテナ:20’、40’、40’HQ、スペシャルコンテナ
②在来貨物:オーバーサイズは15.00M (L) x 3.50M (W) x 3.50M (H)以内の貨物は超過扱いで輸送が可能。
③在来貨物:超過サイズのものは図面を頂いた上で、取扱いが可能かどうか調査する。

(4)輸送の流れ
①積地から天津港まで海上輸送
②天津新港にて中国の鉄道貨車へ積みつけと天津税関にて通関(入境)手配
③エレンホト(中国側国境)にて通関(出境)手配
④ザミンウッド(モンゴル側国境)にてモンゴルの貨車に詰め替えと通関(保税輸送)手配
⑤ウランバートルにて貨物受け取りと通関(輸入)手配

(5)中国ルートとロシアルートの比較
①中国ルートが有利な点
・天津新港はナホトカ港に比べ、輸送サービスの選択肢が多い (急ぎの場合はトラック輸送の手配も可能)
・総輸送距離(1600km)はロシアルートの半分
・輸送所用日数が短い(通常貨物着後3週間)
・通関業務がスムース
・貨物トレーシング(追跡)が可能
・東京からは2ケ月に一便の割合で混載便も利用出来る
②中国ルートが不利な点
・鉄道軌道幅に違いがあるため、国境で積み替えが発生する
・鉄道ワゴンがロシアのものより小さい

参考資料:China Railway United Logistics Co., Ltd.

中央アジア・コーカサス・東アジア地域へのロジスティクスルート

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中央アジア誌上講座
第一講座:中央アジア・コーカサス・東アジア地域へのロジスティクスルート
講師:浅海茂(有限会社シー・エンタプライズ代表取締役)
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中央アジア地域最大のフレイトフォワーダー:グローバリンク社(本社カザフスタン)の日本コンサルタントなどを務められ、数少ない中央アジア物流スペシャリストの浅海社長のご協力により、中央アジア誌上講座を開講いたします。

■アジア中央部地域の呼称について
まずアジア中央部の国々の地理を理解しておきましょう。一般的にこの地域は3つのエリアに分けて考えます。
(1)中央アジア(緑色):カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタン
(2)コーカサス(黄色):アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア
(3)東アジア(オレンジ):パキスタン、アフガニスタン

中央アジア地図

■航空貨物便のアクセスについて
日本からアジア中央部への航空アクセスは直行便は少なく、多くはアジア経由となります。
(1)直行便:ウズベキスタン航空(成田~タシケント)
*赤線/夏期のみ
*貨物の積替えがないので貨物事故が少ない
*Fuel Surcharge(燃料サーチャージ)が安い

(2)アジア経由:青線
・韓国航空(成田~インチョン~ナボイ~タシケント)
・アシアナ航空(成田~インチョン~アルマテイ/タシケント)
・アスタナ航空(北京~アルマテイ)
・中国南方航空(成田~北京~ウルムチ~アルマテイ)
・トルコ航空(成田~イスタンブール→アルマテイ/タシケント/ドシャンベ/アシュガバッド)
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■海運貨物輸送ルート
海上貨物のルートは複数存在します。しかしいずれも各国の規制の違いや国境での煩雑な手続き、そして独特の商慣習や文化の理解など、輸送を完結させるためには独自のノウハウを積み上げる必要があります。

(1)シベリアランドブリッジ:
ボストチニー港(ロシア)→シベリア鉄道(ノボシビリスクまで)経由→カザフスタン鉄道・ウズベキスタン鉄道・トルクメニスタン鉄道・タジキスタン鉄道を利用。カザフスタンの代理店が各国の通関手続き等を一元的に行うため、代理店選定が鍵となる。
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(2)チャイナランドブリッジ:
連雲港/天津新港→ウルムチ→阿拉山口→ドルジュバ/ホルゴス→ カザフスタン鉄道・ウズベキスタン鉄道・トルクメニスタン鉄道・タジキスタン鉄道を利用
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(3)イラン・ルート:
イラン東南部バンダーアバス港→イラン鉄道/イラン・トラック→トルクメニスタン/ウズベキスタン/アゼルバイジャン
このルートの北限はタシケント。それより北へはコストが合わないので、他のルートを利用する
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(4)ヨーロッパ・ルート:
欧州→東欧・ロシア→ロシア鉄道/トラック→中央アジア/コーカサス
欧州の有名なGetewayはフィンランドのコトカ。保税上屋も多く、内陸の通関待ち貨物の一時ストックポイントとなっている。
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(5)ポチ・ルート:
欧州→地中海・エーゲ海/黒海→ポチ港→鉄道/トラック→コーカサス諸国
欧州の主要なGetewayはルーマニアのコンスタンツァ。フィーダーでグルジア・ポチ港で陸揚げし、鉄道かトラックでコーカサスへ。トラックのほうが利便性高い。
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(6)シー・アンド・エアルート:
ドバイ(海運貨物)経由航空便→アシュガバッド/タシケント/アルマテイ/バクー/ドシャンベ
エアーを利用するため、運賃負担力のある小さめの貨物に限られる。
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■営業対象貨物
このエリアへの輸送貨物には以下のものがあります。物流業者はこれらの貨物獲得を目指し、日々営業活動を展開しています。
(1)ODAの有償・無償案件
(2)プロジェクト案件、海外工場建設案件、海外引越、一般商業貨物の輸出入
(3)天然資源(石油、石炭、金、レアメタル、レアアース、レアプラント)、綿花、甘草等の輸出と機械、自動車の完成車・部品の輸入

【誌上講座】中央アジア物流事情-基礎編②へ続く

講師略歴
■氏名:浅海 茂(あさうみ しげる)
■職歴:
・日本通運出身(ニューヨーク/ベルギー/タシケントなど20年間の海外駐在)
・2003年有限会社シーエンタープライズ設立

■現在の契約先
・JTCA(海外運輸協力協会)アドバイザー
・JICE(国際協力センター)短期物流専門家派遣
・IDCJ(㈶国際開発センター)アドバイザー
・Globalink(中央アジア最大のフレイトフォワーダー)日本コンサルタント
・ウズベキスタン商工会議所 日本コンサルタント
・ウズベキスタン大手医薬品総合商社 日本Representative
・日系中小企業数社の物流顧問

■講演会実績
・国土交通省
・日本貿易学会
・私立大学
・商工会議所
・海外(ミャンマー、ラオス、カンボジア、フィリピン等)多数